私好みの新刊 20229

自然散策が楽しくなる! 岩石・鉱物図鑑』 川端清司/監修  池田書店

ちょっと字が細かいが、ちょっと石に興味のある中学生以上なら読める。ハンデ

ィタイプだが、普通の図鑑に比べてかなり情報量が多い。一つの項目で、多くは見

開き2ページ、左側に大きな景観写真が掲げられている。その岩石の出ている風景

写真で岩体全体の景観がよくわかる。そして、その石に関する話が端的に書かれて

いる。たんに、岩石学的な分類に限らず、その石の成り立ちや形状などその石に関

する細かな記載が多く記載されていて読みやすい。右側ページでは、ほとんどの頁に

「見分けるポイント」が書かれている。石を区別するときの目の付け所になる。

いくつかの火成岩には偏光顕微鏡写真も添えられているが結晶の形が見えるので火

成岩理解の一つになる。同じく右側のページに「街中散策」が挿入されている。

街中でその石が使われている建築物や文化的側面も添えられていて楽しく読める。

例えば「東京都庁舎シティーホール前・水の神殿」という項目があり、斑レイ岩が

使われている説明がある。また、「富士信仰の中心地〈富士山本宮浅間大社〉の

火山弾」の項もあり、大きな火山弾が神殿前に飾られている話もある。いろんな

ところで岩石は昔から人々に親しまれてきたようすがよくわかる。また、所々に

日本地図でその石の産地が記載されている。これを見ると日本全体でその石の産

出傾向を探ることができる。ちょっとマニアックになるがオニックスマーブルと

かトラバーチン、グラニュライト、ハイアロクラスタイトなどあまり聞きなれな

い石の紹介もある。別に石の名前を知るためではなく、さまざまな産状の石が日

本には豊富にあるという証明になる。最後に岩石を構成する鉱物についても書か

れている。日本列島は素晴らしい石の宝庫である。

                           202110 1,500 

 

量子力学体験ツアー 宇宙の果てへ』

はばなおゆき/さく うのあつみ/え 小峰書店

  広大な宇宙の発展物語である。しかも、表題に小さく書いてある量子力学を体験す

るとか、どんななイメージだろうか。

 物語は、4人の登場人物とヤクモというロボット、サイズを変えることのできる

ロボット、コスモボールと言う宇宙の模型で展開されている。いよいよボタンを押す

たびに遠くに行くマシンでまずは10cm先の距離からソラくんたちの顔を撮影、巨大に

写る。次は10m先からからソラ君たちを撮影、普通の姿形が写る。次は1km先から、

もちろん地上から見えない距離、地平線が写る。

 いよいよ、そのマシンに乗って宇宙へ出発することに。1キロ上空から100km上空へ。

ここまでくるともう大気圏外、こんどは1,0000kmの世界。円い地球が見える。もっ

と離れて地球から100kmの宇宙へ、月、地球が同時に視野に入ってくる。さらに離

れて地球から1kmの宇宙へ。小さな地球と太陽が視野に入ってくる。さらに離れて

100kmの宇宙、ここまで来ると太陽系の他の惑星も視野に、さらに離れて1km

100kmの宇宙へ。シリウスも間近に見える。ブラックホールに吸い込まれそうになる。

ブラックホールから無事脱出。さらに1kmの宇宙へ。超新星爆発中の星も見える。

さらに100kmの世界、いよいよ銀河系が見えてきた。さらに距離をのばしていくと

ついに宇宙の果てに地数いてきた。でも宇宙はまだまだ膨張している。

宇宙はミクロの世界から始まったという。言葉だけでは理解しにくいが量子力学でな

いと説明がつかないという。それが拡張して宇宙も量子力学で説明される時代になった

とか。下段に宇宙と光について解説欄がある。若い人たちの夢を誘う本である。    

                          20221 1,800 

            『新刊紹介9月』